2026年6月3日に注文受付を開始した日産「ムラーノ」(796万4000円)。アメリカ・テネシー州のスマーナ工場で生産されるミドルサイズSUVで、「米国製乗用車の認定制度」を活用して約11年ぶりに日本市場へ復活します。左ハンドルのアメリカ仕様に、2L直列4気筒VCターボエンジンと9速ATを組み合わせた新型ムラーノは、日本で乗る“アメ車”としてどんな魅力を備えているのでしょうか? 自動車評論家の萩原文博さんの試乗レポートをお届けします。
*撮影車両は北米仕様のプラチナムで日本仕様のSVとは異なります
トランプのおかげでやってきた!?

日産ムラーノは、アメリカ合衆国のテネシー州にあるスマーナ工場で生産されているミドルサイズSUV。このムラーノが日本市場に導入されるきっかけとなったのが、トランプ政権による関税措置をめぐる日米協議と、2025年7月22日に成立した日米間の枠組み合意です。


これによってアメリカ合衆国で製造され、かつアメリカ合衆国で安全が認証された乗用車について、日本国内で販売のため追加試験なしで受け入れる「米国製乗用車の認定制度の創設」が決まりました。この認定制度が2026年2月16日に施行され、日産は洗練されたデザインと高い快適性によりアメリカ市場で高い評価を得ているムラーノを導入しました。
初代から北米で人気、日本でも支持する人は多かった

並行で逆輸入されるほど日本でも人気だった初代ムラーノ
ムラーノと言えば、2002年12月に北米市場に初代モデルが導入され、日本に逆輸入されるほどの人気を誇ったため、2004年9月に日本市場にも導入された経緯があります。

2015年まで日本でも販売されていた2代目ムラーノ

北米では粋なカブリオレもあった2代目ムラーノ
導入当時、ムラーノには”SHIFT_design ”という、これまでのデザイン観にとらわれることなく、新しいドライビングSUVデザインの可能性を追求するとともに、機能性・快適性の向上を実現したクルマ、を意味するキャッチコピーが与えられていました。そして、2008年には2代目モデルが登場し、2015年まで販売されました。
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ワイドで存在感のあるプロポーション

約11年ぶりに日本市場に導入されたムラーノですが、車名はイタリア、ベニスの近くにある島名に由来しています。この島で作られるエレガントなベネチアングラスは「ムラーノグラス」と呼ばれ、「人間の五感に訴える美しさ」と「手作りの温かみ」が特徴だそうです。

今回導入されたムラーノのグレードはエントリーグレードのSVです。エントリーグレードながら美しさと力強さを兼ね備えた“プレミアムモダンクロスオーバー”として、大柄なボディに印象的な薄型LEDヘッドライトや左右に広がるリアコンビネーションランプ、そして20インチの大径ホイールを装備し、ワイドで存在感のあるプロポーションを実現しています。
左ハンドルながら日産車という安心感

インテリアは、12.3インチの統合型インターフェイスディスプレイを水平に2画面配置し、優れた操作性と視認性を確保しています。ハンドル位置が左であることは多くの人にとって購入をためらう要素になるかもしれませんが、操作系は日本で販売されている日産車と大きく変わらないので、慣れてしまえばそれほど戸惑うことはなさそうです。



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最大の特徴はVCターボ+9速ATのパワートレイン

ムラーノの最大の特徴は、搭載しているパワートレイン。日本初導入となる2L直列4気筒VCターボエンジンを採用しています。現行型エクストレイルに発電用として1.5Lの「VCターボ」を搭載していますが、駆動用としては初となります。


2LのVCターボエンジンは、日産独自の可変圧縮比技術により最高出力245ps、最大トルク352Nmを発生。9速ATを組み合わせ、燃費効率と加速性能を高次元で両立しています。駆動方式は4WDのみで、専用チューニングが施された周波数感応型ダンパーと電動ステアリングによって優れたハンドリングと乗り心地を実現しています。
安全装備も最新機能をしっかりと


安全装備は、全方位運転支援システムの「360°セーフティアシスト」を標準装備。さらに「プロパイロット」に加え、本来は見えない車体下の視界を補助する「インビジブルフードビュー」や、交差点などで死角となる前方左右の視界を広角映像で確認できる「フロントワイドビュー」を含む「インテリジェント アラウンドビューモニター」など、最新の運転支援機能を備えています。
重量級SUVながらパワートレインにまったく不足を感じない

アメリカ生まれのミドルサイズSUV、日産ムラーノSVの車両本体価格は796万4000円です。今回試乗したのは、日本に導入されるSVではなく、最上級グレードのプラチナムです。





全長4900mm×全幅1980mm×全高1725mm、ホイールベース2825mmというボディサイズ、最高出力245ps、最大トルク352Nmを発生する2L直4VCターボ+9速AT、そして4WDの駆動方式は同じですが、装着されるタイヤサイズがSVの255/55R20に対して、プラチナムは255/50R21と1インチ大きくなっています。さらに、ナッパレザーやサンルーフといった快適装備が充実しており、車両重量はSVより68kg重い2013kgとなっています。



車両重量が2トンを超える重量級SUVながら、最高出力245ps、最大トルク352Nmを発生する2L直4VCターボ+9速ATというパワートレインはまったく不足を感じません。加速のフィーリングはターボエンジンというよりは3LV6エンジンという感覚です。
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アメリカ生まれらしいおおらかな乗り味

アクセルペダルを踏むと、即座にエンジン回転数が上がり、モリモリとパワーが出てきて、スッと加速していきます。サスペンションの味付けもアメリカ生まれらしく、非常におおらかです。段差などからの入力があっても緩やかに吸収してくれて、ソフトな乗り心地を実現しています。

ただ、装着されている21インチのタイヤがこのアメリカ車ライクな乗り味を若干スポイルしていたので、20インチの日本導入モデルならば、よりアメリカンな大らかな乗り味を楽しめると思います。

全幅1980mmと左ハンドルという個性があるので誰にでもおすすめできるわけではないのですが、いきなりアメリカ車は・・・と足踏みしている人に、アメリカ車の入門編として、信頼性も含めてとても良い選択肢になるのではないでしょうか。
(特記以外の写真:萩原文博)
※記事の内容は2026年9月時点の情報で制作しています。
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