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【試乗・改良新型】スズキ「ワゴンR」理屈じゃない「ちょうどよさ」(島﨑七生人レポート)

スズキワゴンR 6代目MCモデル_202605
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2025年12月に外観のフェイスリフトなどの改良を受けたスズキ「ワゴンR」(143万円〜1856800円)。3種類あった顔が旧カスタムZ系に統一されターボモデルも消滅する一方で、今や貴重な5MT車は生き残りました。背の高い軽自動車のパイオニアの実力は30数年経った今でも健在なのでしょうか。5MT車も含めた自動車評論家・島﨑七生人さんの試乗記です。

初代の衝撃から30数年

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1993年に登場した初代ワゴンRのカタログ

初代ワゴンRというと、ごく個人的にはいまだに初代のイメージが強く残っている。初代ワゴンRが登場したのは今から実に30年以上も前の1993年のこと。まだ世の中には今のようなスーパーハイト系の車種などなく、当時ポピュラーだったアルト(3代目)に較べ実に30cm近く全高を高めた、セミボンネットのトールボーイスタイル(=当時の広報資料より)のユニークなクルマとして、忽然と姿を現したのだった。

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初代ワゴンRは車高だけでなく着座位置の高さも画期的だった

床が低く(グランドから315mm)、前席シート座面(同・625mm)と天井(同・1420mm)は高く、人をアップライトで座らせることで高効率なパッケージングを実現。初代ワゴンRは、今見ても清々しいくらいの機能美に溢れたクルマに仕上げられているが、発売されるや否や大人気となったのも頷けるクルマだった。

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9年目を目前にした仕様変更で「カスタムZ顔」に統一

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HYBRID ZXのフロントマスクは高輝度サテンシルバーが印象的

翻って現在のワゴンRは、初代から数えて6代目。登場は20172月のことで、9年目を目前にした昨年12月に仕様変更されたのが最新モデルということになる。この時の変更点のひとつが外観で、フェイスリフトによってFX(標準車)/カスタムZ/スティングレーとあった3タイプのデザインをこれまでのカスタムZをベースにひとつに集約。

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2017年登場時のFX(標準車)

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2017年登場時に存在したFZ。2022年にカスタムZに置き換えられた

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2017年登場時のスティングレー

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2022年のマイナーチェンジでFZに代わってラインナップされたカスタムZ。長いワゴンRの歴史で初めて「カスタム」を名乗った(写真:スズキ)

なるほど実車をみると、折衷案を決める時に「中を取って」とよく言うように、バンパー形状やヘッドランプは従来のカスタムのそれを活かし、グリル内のデザインを一新するなどして、巧みに新しいフェイスが与えられていることがわかる。

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ZLのフロントグリルはガンメタとなる

ちなみに2グレード設定のHYBRID ZXZLとではグリルのパターンは共通で、3本の横桟が高輝度サテンシルバーなのがHYBRID ZX、ガンメタリックなのがZL。またHYBRID ZXはルーフエンドスポイラーを始め、サイドアンダースポイラー、リアバンパーのエアロ形状とガーニッシュなども専用に装着する。が、あまり大袈裟なデザインではなく、実際のところ試乗中も意識せず、こうして原稿を書く段になって「そうだったんだ」とあとから気づくくらいのさり気なさがいい。

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今や貴重な5MTも設定あり

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ところで今回は2台の試乗車を相次いで試すことができた。モデルは1台がHYBRID ZX2WD)、もう1台がZL2WD)。この2台のうちのZLは何と5速マニュアルミッション車の用意があると聞いたので借り出した試乗車だったが、これが思いがけず実に貴重な試乗に。というのも、記憶が正しければワゴンRMTは初体験であり、しかも予想に反して、乗れば乗るほど身体に馴染むクルマだったからである。

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左右シート間に結構ギリギリな感じで備わるシフトレバー(ただし操作上の支障はなかった)と、すっかり2ペダルに慣れた頭とカラダでクラッチペダルを踏むことを思い出しながらの運転は、クルマを借り受け、最初の数100mはリハビリ感覚でもあった。が、スグに感覚は掴め、試乗を開始してから距離で50kmほど、途中で撮影などしながら自宅に戻るころには、すっかりカラダが馴染んでいた。

フツウのフリをして実はファンな5MT

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とにかく実に清々しいクルマに思えた。ワゴンRではもっともベーシックなモデルで車重は750kgと最軽量。その上で15565 R14 75Sタイヤ(ダンロップ・ENASAVE EC350+)のほっこりとした持ち味と剛性感のあるボディとの組み合わせで、トガったところがない優しい乗り味が作り出されている。

さらに必要にして十分なエンジン性能をMTで引き出しながら走れば、ストレスのないドライビングも楽しめる。もちろんスポーツを目指したクルマではないから、コーナーワークが刺激的で……といったタイプではない。が、フツウのフリをして実はファンなクルマだという点に着目した次第。

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ソツなく安心感のあるCVT車の走りっぷり

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他方もう1台のHYBRIDは、コチラはグッと今どきのクルマというべきか。搭載エンジンそのものはZL(前述の5MTモデル)と共通の36kW49ps)/58Nm5.9kgfm)のNAで、これに1.9kW2.6ps)/40Nm4.1kgfm)のモーターをプラス、さらにCVTが組み合わせられる、他のスズキ車でもおなじみのパワートレインだ。

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で、その走りは出足のスムースさを始め質感が高く洗練されたもの。装着タイヤが16555 R15 75V(ヨコハマ・BluEarth-Es)となり、ZLとは6555かを含めたサイズの差分、銘柄の違いで、乗り較べると、同じ目地を通過した際のショックはHYBRID ZXのほうがハッキリと伝わる。が、基本的にソツなく安心感のある走りっぷりは、誰にでも馴染みやすいはずだ。

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秀逸なパッケージングの魅力はまったく色褪せて感じない

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馴染みやすいといえばもうひとつ、今回の試乗で改めてワゴンRというクルマの理屈じゃないちょうどよさも実感した。今どきのポピュラーなスーパーハイト系に身体が慣れていると、それより低い運転姿勢や室内の広さなどにいささか物足りなさを覚えるのでは……と内心思っていたが、まったくそんなことはなかった。

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適度なアイポイントの運転席はシックリと来るものだし、室内スペースも、とくに後席は足が伸ばせるほどで、スライド、リクライニングも効き、頭上空間の余裕も十二分だ(掲載写真では人間の代役を我が家のシュンにさせているが)。

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要するに初代ワゴンR以来の秀逸なパッケージングの魅力は、スーパーハイト系が主流の今もなお、まったく色褪せて感じない。+αでワゴンRユニークなチャーミングなポイントを付加するとしたら、ルノー・カングーのようにバックドアに観音開きを採用するといったアイデアもアリじゃないかと思う。

(特記以外の写真:島﨑七生人)

※記事の内容は2026年5月時点の情報で制作しています。

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