2026年1月に改良を受けた三菱「デリカD:5」(451万円〜494万4,500円)。2007年の発売から19年目のモデルにもかかわらず、その売れ行きは絶好調です。孤高のミニバンSUVは人気に見合う実力があるのか? 自動車評論家の島﨑七生人さんの試乗レポートをお届けします。
19年目にして過去最高に売れている

歴代最強を力強く謳った2026年1月発売の改良モデルのカタログ
デリカD:5の紙のカタログを開くと、最初の見開きにある“歴代最強”の大きな漢字4文字が目に飛び込んでくる。まさに広告に偽りなしということか。というのも、直近で発表されたメーカーのニュースリリースによれば、デリカD:5の2025年度国内販売台数が2万6379台と過去最高の台数を記録したというから。

2007年の登場時のカタログから。D:5は2019年のマイナーチェンジでフロントマスクやインパネ、パワーユニットを一新するなど大規模な改良を受けている
この数字は、これまで最多だった2007年度の販売台数(=2万5717台)を上回ったもの。今年で発売から19年となるデリカD:5は、同じ三菱車のあの初代デボネア(1964年から1986年まで22年間販売された)に迫る長寿車だが、それにしてもここに来て販売台数で19年前、デビュー直後の自身の記録を塗り替えることになろうとは!

最新モデルと登場時のカタログ表紙。ワイルド感が増しているのは時代の要請か
さらにここ最近の推移も、実は着実に台数を伸ばしてきたのだから何とも心強い。数字をご紹介しておくと、2020年度のコロナ禍を底に(それでも1万2960台)、以降、2021年度/1万4117台、2022年度/1万6672台、2023年度/1万7019台、2024年度/2万1799台……と、コンスタントに販売台数を伸ばしてきた。
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デリカの長い歴史の中でも有数のヒットモデルに

ちなみに歴代デリカの累計登録台数でもっとも多かったのは、1986年発売の2代目スターワゴンの43万2748台。それに次ぐのがD:5の初期型と従前の旧型を合わせた31万3085台(いずれも自社生産分、D:5は2026年3月末時点)。今のD:5が今後どれだけ“現行モデル”であり続けるのかは未知数ながら、歴代デリカ史上で有数の世代といっていいのは間違いない。

1969年に登場した初代デリカにも乗用モデルが設定されていた(写真:三菱自動車)

2代目デリカに設定された初代スターワゴンがD:5の直接的なご先祖さま。シャシーはピックアップトラックのフォルテベースで標準モデルのデリカとは別物(写真:三菱自動車)

折からのRVブームでパジェロと共に大ヒットモデルとなった2代目スターワゴン。新開発のモノコックシャシーに初代パジェロ譲りの本格的な駆動系を組み合わせた(写真:三菱自動車)

フロントエンジンとなりV6モデルも設定されたスペースギア。ベースは2代目パジェロという本格派(写真:三菱自動車)

初代アウトランダーと共通のベースシャシーに、環状骨格構造の「リブボーンフレーム」というボディ補強を組み込んだデリカD:5(写真:三菱自動車)
もともと“デリカ”の歴史はかなり長い。初代が登場したのは1969年のことで、前年に発売されたトラックをベースに9人乗りのワンボックス型に仕立てたデリカコーチが最初だった。以降デリカスターワゴン(2代目:1979年、3代目:1986年)→4代目デリカスペースギア(1994年)と進化。さらに2007年1月になり、通算5代目として登場したのがデリカD:5 だ。
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今年1月のアップデートでS-AWC投入、ADASも進化

ところでそんなデリカの“最新モデル”が発売されたのが今年1月のこと。当然ながら内容はアップデートされており、最新の車両運動統合制御システムのS-AWCが投入されるほか、運転支援機能のe-Assistの衝突被害軽減ブレーキシステムでは新たに自転車の検知を可能としたり、誤発進抑制機能では、後退時でもアクセル踏み間違いに対応させるなどした。

そのほかに外観デザインの変更、内装の質感向上なども実施している。外観ではホイールアーチモールの装着が目に止まるが、全幅はそれまでの1795mmから1815mmにわずか20mmだけの拡幅に留まっている。
最新のクルマに対して何ら遜色がない

さて実車だが、全体のフォルムが変わらないこともあり、一見した限りでは“見慣れた誰もが知っているデリカD:5”の印象。と同時に、ここだけの話ながら、個人的に胸のうちにあったのは、基本設計が19年前のヴィンテージなモデルであり、何もかもが、黙って、設計年次を実感する、古式ゆかしいクルマに思えるのではないか?ということだった。

が、今回実車を借り出して試乗をしてみると、コチラの予感はまったくのハズレだったと思い知らされた。とにかく“何もかもが黙って乗っていても最新のクルマに対して何ら遜色がない”と思えたからだ。とりわけ走り、とくに乗り味の部分では、路面をしっかりと捉えて常に安定した乗り味を確保するシャシーと、こよなく堅牢で高剛性なボディとの組み合わせにより、えも言われぬ信頼感に溢れたクルマだと実感させてくれるからである。
“いいところずくめ”のパワートレイン

パワーユニットに関しても、十二分なパフォーマンスを発揮してくれる。搭載するのは2.2Lのコモンレール式DI-Dクリーンディーゼルインタークーラーターボ、4N14型エンジン。カタログ数値で最高出力107kW(145PS)/380N・m(38.7kgf・m)を発揮。これに8速スポーツモードATが組み合わせられ、パドルシフトによる操作も可能になっている。

で、この試乗を通して理解できたのは、実に運転がしやすいパワーフィールを有しているということ。発進から微低速、低・中速はもちろん、幹線道路や自動車専用道で加速したい場合など、およそあらゆるシーンでアクセルワークに対して、エンジンがこちらの意図に沿うように従順な反応を示してくれる。
本当にストレスのないドライブを実現しているし、車内で感じる音や振動の小ささが快適性を高めている点も見逃せない。まさに“いいところずくめ”のパワートレインだ。しかもS-AWCにより、その性能が無駄なく的確に4輪に配分されるのが心強い。
快適そのもののシート、優れモノの電動サイドステップ

一方で室内空間の居心地のよさも上々だ。各シートの着座感はよく、座るとフカッとストロークしてくれるシートは快適そのもの。クルマの基本的な設計年次を感じさせないのは、こういうところのよさにもある。




シートはセカンド、サードシートものスライドが効き、スーとアレンジも自在。セカンドシートをチップアップさせながら前に寄せれば、1610mmの前後長のラゲッジスペースも作り出せる。

それと試乗車(Pグレード)では標準装備の電動サイドステップがよかった。展開/格納のいずれもスッと静かに素早く行われ、格納時のスッキリとした見た目にも好感がもてる。
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これぞ三菱の4WD!?

運転席は高めのアイポイントで乗用車的な自然な姿勢を取ることができ、リラックスして走らせていられる。各種の安全運転支援機能を始め、クルマの周囲の死角の確認などができるマルチアラウンドモニターの映像も鮮明で見やすく、アウトドアだけでなく日常のスーパーの駐車場などでもかなり役に立つ。

今回の試乗ではオフロードまで足を伸ばせなかったが、モニターをいろいろと切り替えていると、アナログ表示の大型のクライノメーターがインパネ中央の11型モニターの画面に現れ、「おお、三菱の4WDだ」と改めて実感した。
(特記以外の写真:島﨑七生人)
※記事の内容は2026年5月時点の情報で制作しています。
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