2026年5月21日に発売された3代目マツダ「CX-5」(330万〜430万6500円)。9年ぶりのフルモデルチェンジで、ボディとホイールベースを拡大して後席や荷室の使い勝手を高めるとともに、2.5Lガソリンエンジン+マイルドハイブリッドの「e-SKYACTIV G 2.5」を採用したミドルサイズSUVです。サイズアップしながらも“ちょうどよさ”を失わず、上級のCX-60、CX-80にも通じる質感と「人馬一体」の走りはどう進化したのでしょうか? 自動車評論家の島﨑七生人さんの試乗レポートをお届けします。
ノーズが丸い!メリハリのある新鮮なデザイン

自宅2階から見た新型CX-5、ではなくマツダの広報写真より。人物もモデルさんです(写真:マツダ)
自宅2階の仕事部屋の窓から、庭先に停めておいた借用中のCX-5を眺めていた。そこで気付いたのが「あれ!? ノーズの“角”がずいぶん丸いなぁ」ということだった。一般にクルマのデザインは、2次元の写真などではともすると正しく認識しきれない。もっといえば、自分の目の前にある実車を肉眼で眺めていても、コチラの目の高さを上げたり下げたり、近づいたり遠ざかって見たりしても見え方が変わる。

今回もそうで、2階の窓からCX-5を俯瞰で見て「ん!?」と思い、原稿を打つ手を一旦止めて(!)クルマの側まで降りていき改めて確認できたのは、大きく見て前面(フロントマスク側)/側面(フロントフェンダー)/上面(エンジンフード)の3面が、このクルマの場合、掌で撫でたように丸く大きな3次元曲面で繋がっているということだった。

もう少し外板が平面的なクルマであれば角を落とす手法として面取りや、後退角を設けたりする。が、新型CX-5はそうではなく、ボディのカドを3次元的に連続したひとつの大きな曲面としたのが特徴だ。そのうえで上下と奥行き方向に段差を設けたシグネチャーランプや、今まで以上に立体的な形状のウイングを組み合わせて、ノーズまわりのデザインにメリハリをもたせている。

新型CX-5はホイールベースが延長され後席やラゲッジが拡大、ノーズが50mm高くなりボンネットラインは水平に近づいた
ちなみに我が家のクルマの置き場所には、従来のCX-5、CX-60、CX-80も何度も同じように置き、同じように眺めてきた。その中でも、今回の新型CX-5がダントツでノーズが丸いカタチであることが新鮮に思えた。なおノーズ先端は先代より50mm高さを上げているとのことだが、これはアメリカを始め、SUVというと“構え”が重視される市場ニーズを意識してのことだろう。

先代のCX-5はノーズに向かってボンネットが下がっている
上級のCX-60、CX-80を追い越した感すらあるインパネ

新型CX-5のインパネには“新型車感”が満ち溢れている

先代CX-5最終型のインパネ
……とまあ“検分”などというと堅苦しいが、ひとしきりクルマの外観チェックなどをしてから運転席に乗り込んでみた。すると真っ先に感じられたのは、あっさりと心地いい上質感に仕上げられている……ということだった。とくにインパネは、ひと目で先代に対して“新型車感”をヒシヒシと感じさせてくれる部分だ。デザインのセンス、質感のよさにかけても上級のCX-60、CX-80にヒケを取らないどころか追い越して感じられるほど。





ドアから連続させたピュアホワイトのミドルパッドが通る雰囲気は、明らかにレンジローバーの系統ともいえる。その上でシフトレバー(ノブはやや古風?)は残されたものの、大半のスイッチが12.9インチのセンターディスプレイ上での操作にひとまとめになり(オド/トリップ計もここに呼び出して表示する仕組みだが、回路上の事情があるのかどうか、できれば、メーター側に常時表示としてほしい)、空調吹き出し口も目立たせないデザインに。
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後席の快適性が大幅に向上

それと新型CX-5では居住性……とくに後席スペースの快適性も大幅に向上した。これはホイールベースの延長(115mm、全長も同数値)、室内高アップ(+34mm)を最大限に活用した成果でもある。また後席ドアの窓上辺が先代より高いまま後方に伸び、さらにDピラーも起きたことで、ドア開口部が広がり乗降性が一層向上しているのもわかる。



ラゲッジスペースも、トノカバーが床下に格納できるようになり使い勝手が向上している。立ったDピラーは、後席に着座して顔の横の視界を旧型よりもさらに広く明るくしてくれ、クラスアップしたような感覚を味わわせてくれる。試乗車では、しっかりした造りのショップオプションのラゲッジトレイ(ハードタイプ)が装着された状態だった。
これはもう完全に“SUV版・人馬一体感覚”

では走りは? これはもう完全に“SUV版・人馬一体感覚”とでも言おうか、といっても決してスポーティ方向の話というよりも、乗ると、走り出した瞬間から、クルマそのものがスッと自分の身体に馴染んだ感覚が味わえるといった印象。自動車雑誌的に分解するまでもなく、ステアリングフィール(操舵感やステアリングレシオ、レスポンス)、アクセルレスポンス、クルマの挙動、乗り心地、視界、車両感覚などが、長く乗り慣れた自分のクルマのような自然さ、馴染みのよさに感じられる点をまず最初に実感した。


実車のボディサイズは全長4690mm×全幅1860mm×全高1695mmで、先代からのサイズの差は前述のとおりだが、決してサイズアップ感を意識しないのは、視界関係の設計が入念だからかもしれない。
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乗り心地もパワーフィールもスムース

開発責任者の山口主査にお話を伺った際、ダイナミクス領域の話として「ダンパーの初期応答にこだわった」というのがあったが、そのおかげもあり、低速での路面からの入力に対するイナシ、スピードが上がってからのスッと気持ちのいいロールの入りかた、煽られたり突き上げを感じたりしない、ピッチングが抑えられたフラット感などの心地よさも走らせていると気がつく部分だ。

それと2.5リットルガソリンエンジンそのものの穏やかさ、(室内で感じる)静粛性の高さ、電気モーターの効果的なアシストで加速もストレスがない点など、動力性能にも不満を感じない。

乗り心地もパワーフィールもスムースだから、我が家のシュン(4歳・♂の柴犬)も、上質なクルマに乗っている時の鼻先を少しだけツンと上げた満足げな表情でいた。我が家ではカレの最終評価が案外、大事だったりする。
快適でもある実用車として、いい塩梅の1台

ラージクラスのCX-60、CX-80を経験後、改めてこのCX-5に乗ると“ちょうどよさ”を実感する。バリュー・フォー・マネーと言い換えてもいい。1860mmの全幅は日常使いで決して負担にならないのは乗ってみるとわかる。快適でもある実用車として、今、いい塩梅のクルマの1台ではないだろうか。
(特記以外の写真:島﨑七生人)
※記事の内容は2026年9月時点の情報で制作しています。
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