2025年9月に登場した新型の三菱「デリカミニ」(196万4600円〜290万7300円)。初代モデルはかわいいキャラクター“デリ丸。”とともにスマッシュヒットしたものの、わずか2年ちょっとで2代目に切り替わりました。新型の実力を自動車評論家の島﨑七生人さんが試します。
2代目も人気上々、半数以上が4WD

“デリカミニ”と車名を聞くと、クルマよりも先に、あのキャラクターの“デリ丸。”の姿が思い浮かぶ。思い返せば先代デリカミニは、2020年2月に登場したeKクロススペースのいわばビッグマイナーチェンジ版として2023年5月に登場。その際、デリカミニとともに彗星のごとく(!?)姿を現したのが“化身”というデリ丸。で、以降のカレの仕事ぶりはご承知のとおり。デリカミニのプレゼンスの向上にひと役もふた役も果たした。

そのデリカミニは、昨年9月、ベース車のeKスペース(と兄弟車の関係にある日産ルークス)がフルモデルチェンジを受けたのに伴い、2世代目へと進化。先代がシリーズの途中から登場したモデルだったため、今回は2年3カ月と早めの一新だった。とはいえ新型の人気は上々のようで、2026年1月末時点ですでに新型の販売台数は約1万5000台。
グレード構成のトップ3はT Premium 4WD・DERIMARU Package(42%)、次いで同・2WD(24%)、G Premium・2WD (18 %)。4WD比率は全体の52%という。またボディカラーでは、ツートーンがサンドベージュマイカ/ブラックマイカ、モノトーンではサンドベージュと、新色が人気の最上位。購入層は30〜40代のヤングファミリーと40代後半〜50代のダウンサイジング層が中心という。
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第一印象は“超キープコンセプト”

ところでTV-CMで“超新型”と謳われている今度のデリカミニだが、新旧を見較べると、新型の第一印象は“超キープコンセプト”と映った。借り出した試乗車が、従来型のイメージカラーでもあったアッシュグリーンメタリックにルーフ色がブラックマイカの2トーンだったこともあり、実車を目の前にしても、最初は新型の実感が薄い……が正直なところ。とくに顔まわりでは、サイズは違うが半円の白いヘッドライトシグネチャーや、塗装色に違いがあるがダイナミックシールド、DERICAの車名ロゴなどの構成要素は共通。世の中で誰も指摘しないかもしれないが、ミドル、アンダー部分の開口部のブラックの細い横桟の凹凸を交互に組み合わせたディテールなどは恐らく同じだ。

2023年5月に登場した初代デリカミニ。パッと見の印象は非常に似ている
が、デリカミニの場合はこれで正解だったのだろう。ユーザーはデリ丸。に乗りたいのであって、まったく別のキャラクターであっては話が違ってしまうからだ。ということからも、このクルマに関心を寄せているユーザーはひとまず安心していいと思う。
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乗り込んですぐわかる視界の良さ

他方で、見ると乗るとでは大違いというべきか、クルマ全体が大きく進化したことは実車に乗ると実感する部分。運転席に収まってみると、新型はルーフが10cm前方に伸び、フロントガラスと2本のAピラーが従来型より立ったおかげで、乗り込むと理屈抜きで視界と目の前の空間がスッキリした。視界では2本あるAピラーの前方の1本がスリムになり、2本のAピラーの間のウインドゥの視野も広がり、街中での視界が広がった印象。また視界といえば、運転席から見渡せるフード形状が全体にスラントしていた従来型に較べ水平になり、かつ左右を盛り上げた形状になったため、車両感覚の掴みやすさと、ノーズの厚みを感じることでの安心感も生み出された。
グッと時代の進化感が味わえるインパネ、シトロエンのような着座感の後席も秀逸!


もちろん刷新されたインパネは、従来型に対してグッと時代の進化感が味わえるスッキリとしたものに。眼前の2枚の液晶ディスプレイ(メーターは7インチ、中央側は12.3インチ)を連続させて置いたデザインは見やすく、センターパネル部分の奇をてらわないスイッチのレイアウト、ドライブモードのダイヤル式セレクターなどの実際の使い勝手はいい。強いて挙げれば、ATのセレクトレバーがキャリーオーバーのためデザインがやや古風か……といったところ。






助手席下の引き出し式の物入れ(中が2段になっている)を始め、細かく見ていくとポケット、トレイ類の豊富さも魅力。そして今回の試乗で実感したのが、後席が秀逸な出来ということ。



表皮の伸びとクッションストロークの豊かさで、まるでシトロエンのような心地いい着座感を実現しており、これは軽自動車では出色の出来栄えと“!”マーク付きで断言していいと思った次第。
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軽スーパーハイトワゴンとは思えない快適さ

そして走り。今回の試乗車は4WD車で、余裕のある165/60 R15サイズの大径タイヤ(2WD車は155/65 R14)を装着。このことと足回りの専用の仕立て、さらに新型ではカヤバ製ダンパーの新採用もあり、軽スーパーハイトワゴンとは思えない、安定感たっぷりの走りっぷりをみせてくれる。街中を走り出した際のスムースな乗り心地、煽られ感や突き上げのないフラット感などは実に快適なものだ。
同様にパワーフィールも、試乗車はターボだったが、アクセルをジワッと踏み込んでいくと素直にクルマが加速してくれ、ストレスのない走りをみせてくれる。例の大型ダイヤル式のセレクターでドライブモードは切り換えが可能(パワー/エコ/ノーマル/グラベル/スノーの全5モード)。また、急な下り坂でブレーキ制御によりスピードを4〜35km/hの範囲で制御してくれるヒルディセントコントロール、坂道発進でブレーキからアクセルにペダルを踏みかえる際に最大2秒ブレーキを保持してくれるヒルスタートアシスト、ぬかるみや雪道で発進をサポートしてくれるグリップコントロールなどの各機能も心強い。
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高い水準の走りと上質感、そして楽しげに日々乗りこなせる魅力

冒頭の書き出しに戻るようだが、デリ丸。のイメージが強いデリカミニだが、決してキャラクター商品なのではなく、その実態は軽自動車として高い水準の走り、上質感を備えている点は大きな魅力だ。その上で、楽しげに日々乗りこなせる魅力を併せ持っているところが売りという訳だ。ダウンサイザーの受け皿としての役割も立派に果たすと思う。
(写真:島﨑七生人)
※記事の内容は2026年4月時点の情報で制作しています。
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